デスクワークのあいまに息抜きのつもりで空想エッセイを書いて遊んでいた執筆業の男。半分現実、半分フィクション。空想と現実の境目に存在する群島に自分が迷い込み、そこをさまよっている体裁の物語を「机上の空の島」と名付け書き進めていく。
すると、あるときを境に空想が自身の生活をつかんで離さなくなっていることに気づく。空想に異様にのめりこんでいる自身を顧みて、これは何かおかしいと筆を止めようとするが、どうにも自分の意思では止められない。
物語に吸引されていくような奇妙な感覚に戸惑いつつも、男は夢中で物語を進め考える。「これは本当に俺の頭から生まれている物語なのだろうか?」
空想世界があきらかに自身の想像を超えて創造されだしていることに気がつくとき、男の前にある人物が現れ、秘密が明かされる。男は自分の記憶から重大な真実が失われていたことに気がつく……。