月は重力が弱いからコーヒーがうまく淹れられない

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  • 1話完結
  • 2021年11月09日 更新
  • 2021年06月05日 作成
  • 9,428文字
  • 読了目安 約19分

目次

あらすじ

 月ではコーヒーがうまく淹れられず、僕は紅茶ばかり飲んでいる。

 月は昼と夜がそれぞれに長く、生活は静かである。それに反して部屋には陽気なJ-pop音楽がかかっている。地球にいた頃を思い出す。半生の振り返りと、思惑どおりに進んだ人生。

 人は往々にして生活の余白に過去を生きている。

 静かで落ち着いた時間に思い返されるきれぎれの過去が、次の反転を予兆する。過去が次に起こる反転をかたち作っている。