ある老人医に悪魔が「みっつの血を混ぜろ」と話しかける。
疲れきった老人はアルツハイマー型認知症を発症した妻を、ほとんどひとりで介護しつづけている。いくつかのトラブルが、短期間のうちに彼を消耗させ、人間不信に陥らせている。
老体には身が重い介護生活。切れ切れの余白時間のなかで彼は人生を回想し、自分がやってきたことや妻との関係について内省しながら、悪魔のいう通り、血を混ぜるべきなのか考えを巡らせる。