郷里へ帰る道中の主人公の男性、「僕」は、なぜかいつも気乗りしない実家への帰省を、毎度、寄り道しながらもつづけている。
実家へ帰るたびに思い出す、子ども時代の少し奇妙な記憶。絡みあった糸のようにずっとつづく幼い感情。風景とともに、いつのまにか変わっていく現実。
まとわりつく過去の質感をなぎ払うことも出来ず、なにかの答えを出せることもなく、彼はただ、たんたんと父の墓を洗います。