種が落ちてくる世の中になってからはもうだいぶ経つ。
種といっても草木や花の種子ではない。そもそもそんな小さな粒ではない。直径二メートルから大きいと五メートルほどある巨大な岩状のものが突然、上空にあらわれ降ってくる。
主人公の「僕」はそんな種を写真に収め、ノートにまとめることを趣味にしている。
妻は僕の趣味にはとくに関心もなく振る舞っている。しかし僕は妻がずっと若いままでいることに、なにか種との関係があるのではないかと疑いを持っている。